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海外進学をもっと当たり前の選択肢に。「海外進学ガイドブック」制作秘話を代表に聞く

2022.10.20

日本の少子化の大波の中にあって全国の高等学校が、子どものキャリアの選択肢を増やす手段として、また私立を中心に学校経営の差別化戦略として、「グローバル教育」に力を入れ始めています。具体的には、「英語コース」や「国際コース」といった課程の新設、在学中の海外交換留学制度や、海外大学への進学をサポートする体制を整えるなど、様々な試みが行われています。

最近は、進学先に「海外大学」を選ぶ高校生が増えてきた、そんなニュースをたびたび目にするようになりました(*1)。シンプルな「英語教育」から、さらに一歩進んで、海外留学を実現できる学校が注目され始めています。

(*1)「日本に閉塞感、海外大学へ」開成中高前校長・柳沢氏(日本経済新聞)2022年9月26日
2022年大学入試:コロナ禍も衰えぬ進学意欲 世界の「名門」に強い学校は? 全国81進学校海外名門大合格実績(サンデー毎日)2022年9月26日

しかし、学生さんから海外留学について質問されても、答えに窮してしまう先生が多いというのが現状ではないでしょうか。

そんな状況を踏まえて、留学情報館は2021年、高校生向けの海外進学の手引きである「海外進学ガイドブック」を出版しました。

この記事では、留学情報館代表の長者原に、「海外進学ガイドブック」を作った理由、特徴、使い方、国内受験と海外進学に関する意外な情報ギャップまで、詳しくインタビューしました。

「全国大学受験案内」の世界版があれば、海外進学はもっと当たり前の選択肢になる

-なぜ「海外大学進学ガイドブック」を作ろうと思われたのでしょうか?

(長者原)私たちはこれまで、15年以上にわたって、20,000人以上の方の海外留学をサポートしてきました。特に、大学の4年間を海外で学ぶということは、それ自体が素晴らしい体験になるとともに、その人のその後の人生に大きな影響を及ぼします。

ぜひ、高校卒業後の進路に、国内大学だけでなく、海外大学も選択肢に入れてほしい。でも、海外の大学について、そもそも情報がない、というのが現状で、勉強や生活が大変そう、という先入観で検討する前に諦めてしまう人が多いんです。費用(*2)、学力(*3)などは、実は解決できる場合が多いにも関わらず、です。

(*2)返済不要の奨学金が利用できる場合がある。ドイツなど国立大学は学部生の学費が外国人でも無料という国を選ぶという方法も。
(*3)同じGPAでも、日本の大学よりも世界ランキングの高い海外大学に入学できる可能性がある(後述)。また、現地のコミュニティカレッジから編入することで、日本のGPAが低くても上位大の学へ入学できる可能性がある

(長者原)日本の大学なら「全国大学受験案内」というような本が出版されていて、先生や生徒様、保護者様がそれを参照し、大学で何を学ぶのか、学力から考えて現実的な選択肢はどこか、準備をどう進めていくか、など進路について話し合うことができます。図書室や進路指導室に一冊は置いてありますよね。その「全国大学受験案内」の海外版があれば、海外進学に興味がある生徒様や、それを応援したい先生や保護者様に、留学を現実的な選択肢として考えてもらえるのではないか、と思いました。


【ポイント解説】国内にある大学は約800校。それに対して日本人が進学を検討するに値する海外の大学は8,000校を超えます。国によって教育制度も違えば必要な費用も異なります。当然、進学検討にあたってはメジャー(専攻)、難易度等も考慮しなければなりません。これを、忙しい先生や学生さんが調べ上げて、最適な進学先を選ぶのは、不可能といっていいでしょう。
海外大学進学ガイドブックでは、海外留学先として人気の11か国の大学200校を厳選して掲載している他、国ごとの教育制度の違い、生活情報、学費、留学準備スケジュールや留学経験者のインタビューなど豊富な情報を掲載しています。


3つの特徴|11か国200校を厳選、教育制度、留学へのモチベートまで

-海外大学進学ガイドブックの特徴は何ですか?

(長者原)大きく3点あります。まず①メインコンテンツとして、留学情報館が厳選した11か国大学200校を紹介していること。次に、②大学だけでなく、国ごとの教育制度や大学生活、都市情報を提供していること。最後に、③卒業後の進路や、海外留学経験者のインタビューやアンケートなど、留学をモチベートできるコンテンツが掲載されていることです。

特徴1.超名門校から無名の優良大学まで。情報ギャップの解消がより良い進学につながる

▲各国のトップ大学だけではなく、様々な大学を掲載(P59-274:大学詳細情報より)

-大学は11か国の大学200校が厳選されているとのことですが、掲載基準は何ですか?

(長者原)幅広い方が使えるように、有名大学に偏らず様々なレベルや特色を持つ大学を掲載しています。海外大学というと、「ハーバート大学」や「スタンフォード大学」といった有名大学を思い浮かべがちですが、これらの大学は超難関で学費も高額、普通の人の進路として現実的ではありません。一方で、名前は知られていないけれど教育レベルが高く、予算もリーズナブルな大学がたくさんあります。
そしてあまり知られていないのですが、実は、同じ学力でも、国内大学へ進学するより、海外大学を選んだ方が、世界ランキングが高い大学に進学できたりするんです。色々な大学を知ることは、そのような情報のギャップを埋め、生徒様が大学でより良い教育を受けられることにもつながります。


【ポイント解説】例えば、英検準一級、GPA4.0相当の生徒様を想定した場合、国内で一般的に目指せる大学は、世界ランキング(THE2022)で1201位~程度が目安となります。しかし、同じ学力でも世界に選択肢を広げた場合、セント=ルイス大学(501位~)、マンチェスター大学(50位)などが目指せる大学としてリストアップされます(なお、同ランキングでは東京大学=35位、京都大学=61位)。
冒頭では開成高校といったトップレベルの高校の事例を挙げましたが、そうではない普通の高校生も、より良い進学を目指して、海外大学を現実的な選択肢に入れ始めるのも近いかもしれません。


特徴2.各国の教育制度情報も。より踏み込んだ進路指導に

▲各国の教育制度についての資料も充実(P18-19:アメリカ式とイギリス式の大学制度より)

(長者原)国ごとの教育制度は、大学の入学時期や留学期間などに関わってきます。大学生活、都市情報も含めて、より踏み込んだ進路指導に使っていただくことを想定しています。

特徴3.卒業後の進路、経験者インタビューなど、留学をモチベートできるコンテンツ

▲さまざまなタイプの留学経験者のインタビューを紹介(P4-7:NBAワシントンウィザーズ日本担当マーケティングマネージャー新川諒氏インタビューより)

(長者原)卒業後の進路や、海外留学経験者のインタビューやアンケートなど、留学をモチベートできるコンテンツにもこだわりました。留学経験者インタビューも、才能あふれる人ばかりではなく、苦労して進学された方のストーリーも掲載しています。「一部の優秀な人だけが海外留学する」ではなく、「普通の、なんなら成績も平均以下、英語のスコアも持っていなかった人」でも、正しく準備すれば海外留学が実現でき、国内では手の届かなった進路にも進める可能性がある、ということを知っていただきたいんです。これを読んだ学生さんには「海外進学って、私にも目指せるんだ」と自分ごとに思ってもらえたら嬉しいです。

-高校の先生は、「海外大学進学ガイドブック」をどのように使えばよいでしょうか。

(長者原)導入いただいている高校様では、生徒様が手に取りやすいように図書室や進路指導室に置いていただいたり、海外進学に興味がある学生さんに直接、手渡してもらっています。
ガイドブックは、留学の目的意思の醸成から、大学選び、実際の出願直前まで、ずっと手元に置いて使えるものになっています。大学選定など具体的なことは高校3年生に入ってからになりますが、海外の大学の合否は高校3年間の評定平均と英語力が大きなポイントになります。大学や学部によっては高校を卒業するまでの課外活動(スポーツや芸術/社会活動など)も大きく評価されることがあります。先生方には、海外進学にご興味がある生徒さんがいたら、ぜひ早めに手渡してあげて欲しいですね。

▲留学準備のスケジュールサンプル。できれば早めに目を通しておきたい(P32-33:海外進学準備の進め方より)

▲目指す大学、国によって必要な英語検定は異なる(P38-39:英語検定の種類と用途より)

280Pでも全然足りない。迷ったら高い専門性を持つ留学カウンセラーに頼ってほしい

-ガイドブックは280Pというボリュームですが、ここに載せきれなかったこともありますか?

(長者原)実は、まだたくさんあります。例えば費用面で頼りになる「奨学金」。日本だけでなく各国に独自の奨学金が数多くあり、その情報量は、それだけで本が一冊書けるほど膨大です。

▲ガイドブックでは奨学金の概要を解説(P42-43:海外進学のための奨学金より)

(長者原)大学情報もごく一部しか載せられていません。大学選びで重要な要素の一つであるメジャー(専攻)も、大学により多様な選択肢があります。ビジネスならビジネスの中でも何を学びたいのか、経営なのか、マーケティングなのか、マネジメントなのか、ロジスティクスなのか・・・で、選ぶべき大学・学部は変わります。出願のタイミングや追加書類などは大学ごとで異なりますし、同じ大学でも年ごとに変わることもあります。
まとめると、留学に関するより詳しい情報や、変化する可能性があるもの、学生さんの目的によって最適な情報が異なるものは、ガイドブックには紙面の関係、または情報の性質上、掲載することができていません。

(長者原)留学情報館では、海外大学進学ガイドブックの提供に加え、進学カウンセラーによる、先生方の進路指導のバックアップも行っています。大学進学カウンセラーは「カウンセラー」と名前がついていますが、弁護士や会計士のようなのような「士業」に近いと思っています。生徒様の進学目的を明確にし、留学までの学習・準備をコーチング、モチベ―トするだけでなく、国・大学情報はもちろん、奨学金やビザ等の手続きのプロとして高い専門性を持ち、渡航後の留学生活の成功まで見据えたサポートを行います。ガイドブックと合わせて、ぜひ頼っていただければと思います。

「海外進学ガイドブック」について、気になる方はぜひ一度、資料をダウンロード、もしくは直接お問合せください。